はじめに
Meaning ~趣旨~
私たちの活動において時間を共有したいのは、これから育っていく子供たち、
木にあまり触れたことのない人、森林や山のない町で暮らす人など、木や森から少し遠い距離にいる人たちです。
あるイベントでの出来事でした。
小学生の子供たちと森林コーディネーターと共に森を散策して実際に間伐してみよう。という企画でした。
ある男児がこう言いました。『木を切るなんて森林破壊だよ。』
とても良い発言、これが原点だと思いました。
「エコ」「ロハス」「スローライフ」などという言葉がもてはやされるようになってから「マイ箸」という言葉をよく聞きました。
割り箸は木を使う→資源の無駄使い→ゴミを増やす→森林・環境破壊というイメージが一部で定着していきました。
大人でもそう考えるのだから子供がそう思うのは当然のことです。
私たちも「木」に関わる仕事をしていなければ同じような事を考え、子供に同じように伝えていたかもしれません。
イベントに参加した子供たちは、森林コーディネーターから間伐の意味や木を使う理由を教えてもらいました。
その後に自分で切った枝や、拾った実を使って木のおもちゃを作りました。
子供たちは「これからはたくさん木を使いたい」と言ってくれました。
このイベントが参加者の意識や認識を変えました。何かを伝えるのに必要なのは経験しかないのです。
私たちは木工の伝道者となって、遊ぶことから「木」という資源の活用を広め、
そこから幅広い人たちが森林における現代の問題を知り、動きだしてくれることを願っています。
動き出すといっても大きな事ではありません。子供たちや友人に話すこと、それだけでも十分なのです。
私たちの活動では木の樹種は問いません。入り口はたくさんある方がいいのです。
間伐材、国産材にこだわりません。輸入材だって古材だって、針葉樹だって広葉樹だって、なんでも使います。
まずは木に興味をもってもらうこと、木に触れてもらうことがスタートです。
大人も子供も木工の楽しさを知った時、豊かな探究心がとても大きな「力」になることは
年間5000人を超える木工ワークショップでの出会いで証明されています。
Story ~これまでとこれから~
子供が生後11ヶ月のころ小児喘息を患いました。
当時、高速道路のすぐ側で暮らしていたこともあり、自然環境に恵まれた地へ移住することにしました。
そして古い一軒家をセルフリノベーションするため、裏庭に小さな作業場を作りました。
そこで木の端材で子供に車のおもちゃを作ったのが木工の始まりでした。
Natural=健やかな生活のため自然素材へのこだわりを。
Backyard=裏庭。木工の原点となる場所。
2つの言葉を合わせて屋号を「Natual Backyard」と名づけ、
2010年に兵庫県篠山市で小さな木工房とお店を開業しました。
2012年からスタートした「木のおもちゃづくり」は1日100組を超える会場もあり大規模なワークショップへと進化しました。
現在では小学校の親子活動や授業としても取り入れられ活動の場を広げています。
2018年、活動を継続し実績を積み重ねてきて5年以上が経ち、全国展開するタイミングであると考えました。
全国の自治体や企業との連携を更に強化するために工房はNPO法人を設立しました。
「NPO法人 Naturaru Backyard Factory」として、地域社会の発展と次世代の育成に貢献する事業をスタートしました。
Action ~伝えたいこと~
私たちは生きるために呼吸をします。呼吸は酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出します。
生きるうえで必要な「食べ物」「飲み物」「酸素」、この中で30分でもなくなると死んでしまうものは酸素です。
あらゆる生き物は、この世に酸素がないと生きていけません。酸素を地球上で生み出せるのは植物や森林だけです。
現代では二酸化炭素の大量排出が地球温暖化や大気汚染の原因となり環境問題が深刻化しています。
二酸化炭素を吸収して、きれいな空気へと循環してくれるのも森林なのです。
しかし森林が元気でなければ、その働きは活かすことができません。
今は木を使う暮らしや文化がなくなりつつあり、林業が衰退して森が荒れています。
大人は子どもたちのために森を再生させて、元気な森を残していかなければなりません。
「森が危ない」「間伐材を使おう」とはよく聞く言葉です。
しかし、地球規模の大きな問題だけを伝えても日常生活ではピンとこないのです。
それは、「ひとりの力では何もできないよ。」と無関心へと誘導してしまう結果になりかねません。
どうして森が危ないと言われるのか。。。
私たちの暮らしに森はどう関わってくるのか。。。
自分たちにできることは何かを。。。
木を使った遊びや体験を通して、その意味や現状を伝える活動をしています。